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2006/12/11 02:38
J.S.バッハの作品に「BWV1030」の作品目録番号が割り当てられている作品がある。
一般に言う「h-moll(ロ短調)のフルート・ソナタ」のことだ。
この作品は皆様よく御存知だと思うけれども、オーボエ用の異稿譜というのがある。こちらはg-moll(ト短調)。
蛇足だが、それは学生時代の試験の場ではあったが、私がチェンバロで最初にアンサンブルとして、「聴いてもらう為に」演奏した作品だった。旋律楽器はバロック・オーボエ。その後、モダン・オーボエとも弾くことがあったし、何かと縁深い曲でもある。
フルートとは、当然 h-moll、ヴォイス・フルートともh-moll、オーボエとはg-mollで弾く。
そして、リコーダーと共に演奏する時は、c-mollになる。
何故、調が各々異なるのか?
...という質問が時々あるのだけれども、それは、こういったアンサンブル曲の場合、旋律楽器の特性(主に音域の問題)に合わせて、移調を行う(適切な調性を選択する)。
音域の問題と言っても、単に「この音が出るかどうか」という問題だけでなく、演奏可能な音域であっても、特に管楽器は音域によって音色特色が異なるため、その有効な音色音域を用いるために、適切な調を選択されることもある。
こういう言葉にすると難しいけれども、簡単に言えば
「より映える調性で演奏する」
というところに理由があると思う。
鍵盤楽器というのは、大多数が他の種類の楽器に比べて、あまり演奏可能音域内での音域特性というのは無い。
面白い例があって、J.S.バッハはイタリアの協奏曲作品を鍵盤独奏に編曲したものが残っているのだけれども、鍵盤なら音域に特に問題がある場合を除いて(チェンバロは意外と最高音は低い)、移調する理由はあまり見当たらなさそうなのだけれども、何故か他の調を選択されている場合がある。
その理由の一つには、調性感の問題があるかもしれない。
厳密に言えば、楽器ごとに、その得意不得意とする調があって、他の楽器に比べて、鍵盤楽器にその得意不得意の障壁は少ないにしても、各々の調で表現される世界というのが各々にあると思う。
しかし、楽器全般的に、調性の特色は、ほぼ一貫したものであって、そう考えると何故移調するのか? という疑問点が残ってくる。
ちなみに、ロマン派の時期になって、リスト等にもその作品は残るが、管弦楽の為の作品(オペラ作品を含む)をピアノで演奏するパラフレーズ作品に、移調されて書かれている例もある。ピアノは、オーケストラの全音域をカヴァー出来ると言われる程に、音域が広いので、演奏可能音域等の問題は横たわっていない筈である。
ところで... 2006年の現時点において、私が最も複数の調で演奏する機会のある作品というのが、
このBWV1030のソナタなのだけれども、やはり鍵盤楽器にも物理的な調の得意不得意があるのではないかと、やんわりと感ずるようになってきた。
正直なところ、鍵盤楽器においては、何調でも演奏可能だとは思う。しかしながら、h-moll、g-moll、c-mollのうち、一番理にかなっているものは、原調と思われるh-mollなのだ。理にかなっているつまり、指に無駄な動きがないのである。これは物理的な結果論だけれども。
J.S.バッハは、皆様御存知の通り、鍵盤演奏にも長けていた音楽家である。
BWV1030のソナタが、フルートの為の調を選択していたとしても、その調の中でオブリガート・チェンバロを書いて行くにあたって、最も無駄のない音形が選択されているように思う。
無駄の生じる調で弾いても、鍵盤奏者にとって、99.9%何の問題も起こらないので、あまり意識しないのかもしれない。
他の楽器の為の作品の鍵盤楽器作品用への移調は、作曲家の楽器物理的見地からの特性を考慮して選択されているのかもしれない。
しかし...堂々めぐりなのだけれども、十二平均律を用い始める前の時代...調性ごとの特色性への意識はとても強かったと考えられているのだが、その見地から考えると疑問が多いに残る。
が、「平均律クラヴィーア作品」に書かれた落書き(?)から導き出されたリーマン調律では、十二平均律の5度音程も出てくるような提示がされているけれども、我々が考察している程、調特性への意識が高くはなかったのか...
あるいは...もっと柔軟で、ケース・バイ・ケースだったのかもしれない。
奏者としては、ケース・バイ・ケースで落ち着きたいのだが(笑)、
「そんないい加減な論」と言われそうだが、これは学術考察ではありませんので(笑)
☆ 議論を投げかける記事ではございませんので、あしからず。
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2006/04/04 07:30
「へぇーチェンバロの奏者なんですかー」
「チェンバロって大きい楽器ですよね」
「持ち運ぶの大変でしょう?」
いずれも私は「はい」と答える。
チェンバロを御存知なのだと内心嬉しく思いながら、返事をする。
「チェンバロってね、オーケストラのしか聞いたことなくて、独奏って聞いたことないんですよね」
あーそうですか (^^) と答えながら、
おぉ、バロック音楽を生演奏で聴かれたことがあるんだなぁ〜
とこれまた嬉しく思う。
「こう、沢山のチェンバロの人がオケで弾いてますでしょ。
チェンバロって一人だと小さい音なんですか?」
は? へ? (?_?)
ここで、私は、相手が、チェンバロとチェロとを間違えてらっしゃることに、はじめて気付く。
音楽好きなんですよ(^^) とおっしゃって、お話が弾むことも多いが、
まだまだチェンバロという楽器を御存知の方は少ないと痛感する。
「チェンバロはね、弦は張ってありますけれども、鍵盤楽器なのですよ(^^)」
チェンバロ cembalo (独)は、フランス語ではクラヴサン Clavecin、
英語ではハープシコード Harpsichordと呼ぶ、
ピアノが産まれる前に盛んに用いられた鍵盤楽器である。
形状はピアノの前身なのだが、内部構造が違う。
ピアノは、弦をハンマーで打って音を出すのだが、チェンバロは弦を爪がはじいて音を出す。
鍵盤の先...これは楽器の中に入っているものだから、外からは見えないけれども、
先に繋がるものが、爪なんですよ。
私は説明が上手ではないので、大抵「?」な顔をされる。
一度見て頂けたら、疑問は一気に吹っ飛ぶと思うのですが f(^^;;
「どんな音なのですか?」
音の種類は、弦をはじいて音を出すので、ハープやギターやお琴...と似通っていますが、
これまた聴いて頂くのが一番良いかと... 良かったら一度、演奏会にお越しくださいな(^^)
勿論、宣伝目的など持たずにチェンバロのお話をするのだが、
最後に宣伝するしかないや...となることが多い...。
人の良い方や、本当に「チェンバロってどんな楽器なの?」と思われた方は、
社交辞令でなく、実際に演奏会に足を運んで下さる方も多い。
「チェンバロ お初」が私の演奏となる方がおられる...奏者として責任重大。
チェンバロ自体のイメージを良しとするか悪しとするかは、私の演奏次第...
チェンバロという楽器を一人でも多くの方に知って頂きたい...と思ったと同時に、
重大な責任を負ったのだと、私は思っている。
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2005/12/30 03:13
アンケートや頂いたメールで多い、疑問みたいです。
チェンバロの鍵盤は、上鍵盤と下鍵盤、一緒に動くように見えるんじゃなくて、一緒にも動きます (笑)
チェンバロのしくみは、私がお答えするよりも、チェンバロ製作家さんのサイトを御覧になられた方が、分かりやすいと思うので、詳説は割愛致しますが、
ヒストリカル・チェンバロの二段鍵盤式の楽器には、
通常、上鍵盤と下鍵盤に、同じ高さの音がする弦 (8'弦と呼ぶ)がそれぞれ張られています。
... 又、たいていの二段鍵盤チェンバロの下鍵盤には、
オクターブ高い音の弦(4'弦と呼ぶ)も張られているのですが、この話は、今回は蛇足なり。
下鍵盤と上鍵盤、同じ高さの音が出るのですが、
(☆ 二段も鍵盤があって、音域が広いんですねーと言われますが、
エレクトーンのような仕組みではないことも、蛇に足を生やしておこう(笑) )
それぞれ微妙に音色が違うように、調整されています (通常は。)
8'弦1本でも、演奏しますが、より分厚い音で演奏したい時に、
上鍵盤&下鍵盤を一緒に動かすレジスターを用い、8'弦2本を鳴らして演奏します。
これが「上鍵盤と下鍵盤が一緒に動いている」状態での演奏です。
ちなみに、下鍵盤をぐっと押し込むことで、上下連動させる仕組みになっています。
プレイヤーの近くの席に座られた方は、そんなところも、演奏会で見てみてください(^^)
またまた蛇足ながら、4'弦を加えた音色で演奏することもあります。
通常
・ 下鍵盤の8'弦+4'弦
・ 上下鍵盤の8'弦2本+4'弦
という音色の使い分けがあります。
これに加えて、チェンバロには、
・ 上鍵盤の8'弦1本
・ 下鍵盤の 〃
・ 上下鍵盤の8'弦2本
・ バフストップ(ミュートをかけたような音がする)を用いた8'弦
(☆楽器によってバフがかかるのは上だったり、下だったり。
最近、両方にかかる楽器も弾きました♪ )
めったに使わないが、
・ 4'弦1本。
以上、7種類の音色を使い分けることが出来ます。
これに、奏者の指先で弾き分ける音色が、各々に、無限に加わります(^^)
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